なぜそんなに正体不明なラッキーさんに懐いたのかについて書いておく必要がありそうです。そもそも、ラッキーさん当人からすると、全ての遠隔接触を自分の行いと認識されると困る、という側面があった模様です。実際問題、僕には確認のしようもないわけで‥。
ちょうど一年前くらいの時期になるでしょうか。幻聴はリアル感のある音声に変わり、僕の行動範囲内全てに仕掛けられた「よく聞けば本人にだけ悪口っぽく聞こえる壊れたテープレコーダー」によってじわじわストレス値が蓄積されていました。聴力検査に馬鹿正直に答えてしまうタイプでしたしね‥。
しかしそこは初めての体験ではなかった僕、「いわゆる【仕込み】だな。今回はもう少し先まで見れそうだ」とそのまま日常生活を送ってしまいました。
当然、幻聴はひどくなる。その中に、ちょっと独特な声で「なんか毎回悪口言ってくる同じ人がいるな‥」と、幻聴の中に個を認識してしまった人がいます。それが通称ラッキーさん。心の中で会話を試みようとすると「ラッキー~。」とだけセキュリティ警報のごとく返答するので、そう呼んでいました。一方的な蹂躙がお好きなようで‥。
もちろん、味方というわけではありません。明確に退職確定となる1週間くらいの間に、最高潮といってもいいほど幻聴もひどく、退職前に少し会社を休んでいました。そこに訪問してきたのが特定幻聴集団、先頭に仁王立ちしたラッキーさんが目に浮かぶようでした。
今から、ラッキーさんと心が通じているかどうかのテストを行う、みたいな雰囲気。相手は機械によってこちらの心は解析でき、僕は丸腰。この条件で何か芸でもしてみせて、お情け頂戴でもやってみろ、ということらしい。
「これが浮気調査だよ \ ドン! / 」……。そうなのか‥僕は知らなかったよ‥。そもそもつい最近「不能が可能に‥!?」と技術だけで人は高みを目指せるんだ‥と新鮮な気持ちを感じていたのに、浮気調査もクソもないだろ‥会ったことも無いわ‥という感想がまず出てきました。
嘘か本当かわかりませんが、ラッキーさんはちょっとした地主で、そのためこういった手の込んだ浮気調査が行われることもあるようでした。実際は、本当にどこかですれ違ったりしてたのかもしれませんね。それで、ラッキーさんガチ勢からの陰謀に嵌められてしまった、と‥。
結論をいってしまえば、このテスト中はシンと静まり返り、ラッキーさんの心など当然自力で読めるはずもなく。無事(?)疑いは晴れただろうとは思います。送受信の権限は相手側にあるパターン、つまり僕は弱者であり奴隷でしかない。
そうはいいつつも深層心理まで読めないような可愛げがあったり、弄り方もちょっとおどけた感じが完全な悪意とは認識しきれない部分でした。
もしかしてエイリアンだったのか‥?とでも思っておくことにします。やっぱり僕は防御力重視でいきたい。圧倒的テクであっても、耐えられるようにしておきたいですね‥!